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産地でわかる葉巻の特徴【キューバの特殊な生産体制や輸出事情についても解説】

キューバが葉巻の生産国であることは広く知られていますが、実は葉巻の世界最大の生産国はキューバではないことをご存じでしょうか。

今回は意外と知らない葉巻の生産国について説明します。
内情が複雑なキューバ対アメリカの輸入規制などについても解説しているのでぜひご覧ください。

葉巻の産地

高品質なシガーリーフを栽培するためには、適切な気候(気温、適度な降雨量など)、長い年月をかけて改良された種子、肥沃な土壌、収穫から熟成、ローリングまでの生産技術を持つ地域でなければ、最高のシガーリーフを生産することはできません。ここでは、主な葉巻・シガー生産地とその主な特徴をご紹介します。

キューバ

キューバは、世界中のシガー愛好家誰しもが認める聖地です。
キューバは社会主義国として知られ、国営企業が葉巻の精算を行っています。品質管理が不十分で製品よって品質にばらつきがあるとも言われていますが、ベテランのシガー愛好家はそれもまた一興といった感じで、最高の一品に出会う喜びを感じているようだ。
濃厚でリッチな味わいをお楽しみいただけます。

ちなみに、キューバシガーの多くはハバナ市近郊にある地域で取れたタバコ葉が使われているため、「ハバナシガー」という表現の方が馴染みがあるかもしれません。

ドミニカ

1962年にキューバと米国の国交が断絶して以来、ドミニカ共和国にはキューバから大手メーカーが多く進出しています。

キューバと違い、ドミニカ共和国は自由貿易制度が発達しているため、必然的に生産ラインや経営が発展してきました。
今ではドミニカ共和国は世界最大の葉巻の生産国です。

葉巻は滑らかな味わいとドローが特徴で、比較的軽いものが多いのが特徴です。

ホンジュラス共和国

実はドミニカに次ぐ世界第2の葉巻の生産国。
キューバ産の葉巻に非常に似ていると言われるのは、1962年のアメリカによる貿易制裁によってキューバからホンジュラスに移住した職人たちが、キューバ産葉巻の長年の伝統と製造方法を頑なに守り続けているからです。

また、気候の変化が多い地形としても有名で、多種多様な葉巻を生産しています。今後も目が離せない生産国だといえるでしょう。

ニカラグア

ニカラグアの葉巻は近年、キューバの葉巻に匹敵すると言われるほど有名になっています。
また、ホンジュラスの南東に位置するニカラグアは、葉巻によく合うコーヒーの産地として有名です。
その他にも、ニカラグアはラム酒の産地としても有名な国です。

葉巻生産地 キューバとはどのような国か

葉巻 生産地

葉巻生産国キューバの輸出事情

キューバはカリブ海最大の島です。ラテンアメリカで唯一の社会主義国であり、40年以上にわたってアメリカ政府から経済制裁を受け続けているため、タバコ産業にも大きな影響を及ぼしています。
もちろん、アメリカにはキューバ産の葉巻は入ってきません。そのため、キューバ産葉巻のほとんどはヨーロッパに輸出されています。中でも、キューバをもともと植民地としていたスペインへの輸出が全体の約4割を占めています。
最近葉巻ブームの日本(香港経由)への輸出は、全体の1%に過ぎません。

キューバにおけるタバコの歴史は古く、コロンブスがキューバ島を発見するずっと以前から、この島の原住民は野生のタバコ葉を葉巻のように円柱状に丸めて火をつけてで吸っていいました。その中でも有名なのがタイノインディアンであり、葉巻の大きさの名前にもなっています。

国名のキューバは、タイノ族の言葉で「中心」を意味する「Cubanacan」に由来すると言われています。

キューバの葉巻生産体制

現在のようなタバコの栽培が本格化したのは、スペイン領になってからです。
現在、キューバでは葉タバコの生産地を5つに分類しています。

1.ブエルタ・アバホ
2.セミ・ブエルタ
3.パルティード
4.レメディオス
5.オリエンテ

キューバは日本のJTの専売特許のように、葉巻を生産する国営の会社は1社しかありません。この会社の中に多くのブランドが存在しています。
キューバ産葉巻をすべて輸出している半官半民のハバノスS.A.は、フランス国営のセイタ社とスペイン国営のタバカレラ社が合併してできたアルタディス社が50%を所有しており、消費国が生産国を経済的にコントロールする力関係を作り出しているのです。
輸出用葉巻のほとんどは首都ハバナの葉巻工場で生産されています。

葉巻をめぐるアメリカとキューバの関係

米国でキューバさん葉巻の輸入が違法である理由

1898年、アメリカはキューバに圧政を敷く宗主国であるスペインのを倒し(米西戦争)、キューバの独立を支援したため、20世紀初頭、アメリカとの関係は良好でした。
それから、多くの米国企業がキューバに進出し、グアンタナモには米軍基地が設置され、キューバ「アメリカの裏庭」と呼ばれるようになりました。

一方、キューバ経済はアメリカ抜きでは立ち行かなくなってしまいます。
キューバ国民は安い賃金で雇われ、富はアメリカ企業に独占ます。生活は困窮の一途をたどっていました。

そんな中、フィデル・カストロという弁護士が1958年にキューバ革命を起こします。
この時、ゲリラ戦で活躍したのがチェ・ゲバラです。
この二人は葉巻の愛好家としても有名で、葉巻を加えた写真が有名です。
カストロは革命政府の樹立を宣言し、国中が歓喜に沸きました。
当初、カストロは社会主義者ではなく、極端な反米感情も持っていなかったと言われています。

カストロ政権が、汚職の温床となっていた米国企業の資産を接収し、国有化します。
それに反発したアメリカは、近い国であるキューバが共産主義化しソ連側につくことを恐れ、亡命したキューバ人に武器を提供し、カストロ政権を打倒しようとします。

しかし、それは失敗に終わり、アメリカはキューバに対して経済封鎖を行う形で、アメリカとキューバの国交は断絶しました。
そのため、アメリカはキューバさんの葉巻を輸入することができず、密輸すると違法となります。

一時的に合法になった時もある

1962年からの半世紀以上にわたる対立を経て、2015年4月、オバマ政権によってアメリカとキューバは国交を回復しました。
両国に大使館を設置し、捕虜の交換や渡航・貿易制限の緩和など、徐々に両国は接近していました。
しかし、2017年11月、トランプ政権が再びキューバへの制裁を強化しました。
葉巻の輸入についても規制されています

アメリカからキューバへ行く方法

アメリカから直接キューバへ行くには、「CubaGeneralLicense」というライセンスが必要です。このライセンスは実際の免許証ではなく、航空券を購入する際に入国するための理由となるものです。
入国目的は、家族訪問、政府関係者、ジャーナリスト、研究者、宗教活動、演奏家、キューバ支援者、人道的プロジェクトなど、12項目のいずれかに該当する必要があります。
このリストに「観光」は入っていません。
つまり、観光を目的としたキューバへの入国はできません。
入国時に保険証の提示が求められますが、アメリカの保険証は無効であり、他国の保険や現地の保険に加入する必要があります。
また、現地ではアメリカのクレジットカードは使用できません。
ライセンス保持者は、キューバ産葉巻を米国に持ち帰ることができますが、100ドル以下で、転売目的でないことが条件となります。

米国へはキューバ産の葉巻を持ち込めない

キューバまたはその他の国から米国にキューバ産葉巻を輸入または持ち込むことは禁止されています。
例えば、カナダでキューバ産の葉巻を購入し、米国に持ち帰った場合、違法行為となります。
捕まると5万ドル(約500万円)の罰金と刑務所に入る可能性があります。

生産地の特徴から、葉巻の特徴を知ろう

いかがだったでしょうか。
今回は葉巻の生産地について説明いしました。
葉巻は地域によって様々な特徴が出る嗜好品です。
生産国の特徴や生産事情を知ることで、葉巻自体の味の特徴についても理解を深めることができます。
葉巻を購入する際はぜひ葉巻の生産国も気にしてみてください。